わさびさんの日記

醸造や地域の魅力発信、ワインについてなど。日記もね。

秋の果物といえば、

葡萄バンザーイ。

 

 

ええ、葡萄好きです。でもね、東京にいた時は葡萄って普通に高級果物の仲間でした。桃とか無花果とかと一緒でなかなか食べられるものじゃなかったんです。

 

ところがです、ここ勝沼に来てからというもの東京のスーパーで売っている果物は果物の皮を被った違うものだったということを思い知らされる毎日なんですね。なんだっていうと、やはり完熟かそうでないかが肝。または完熟していたとしても都内のスーパーに並ぶのはどんなに早くても収穫から3日後、みたいですよ。

 

早朝〜午前に収穫して午後には出荷、農協は夕方に発送して翌日には市場で競りにかけられて2日目の夕方には八百屋さんやスーパーマーケットに並ぶものかと思っていたんですけどどうやら違うみたいです。

 

午前に収穫しても商品づくりして出荷するのは翌日、農協も都会に出荷するのが翌日、競りにかけられてさらに翌日とだいたい4日ほどはかかるみたいです。農家さんに聞いたので間違いありません。結構、都会のスーパーに出回る果物って本物じゃないっぽいの。葡萄は追熟しないので早熟(酸が残っている状態)で摘んで出荷してしまうのがほとんどみたい。

 

観光農園は確かに旨い。完熟したものを教えてくれるしそれを捥いで食べられるし、それらを持って帰って食べることができるから。でも高い。知り合いの農家さんに言わせると「観光農園だけは行っちゃダメだ」ということでした。例えば今日本一高級な葡萄と言われているシャインマスカットを例に挙げてみますね。kgあたり3,000円っていうのがシャインマスカットの相場になっていたりするので(私もそう思ってました。だって桐の箱に入って白いワタに包まれていたりしたら1房で8,000円くらいしてますよね)近所の観光農園の店先にはシャインマスカットがやはり3,000円/kgくらいが相場で販売されているんですけどね、それはやはり観光農園だからみたいです。

 

というかぶどう狩りに行ったりした時に出荷しかしていない農家さんには絶対寄り道しないですもんね。そりゃわかりませんって。でもこんなこと書くと怒られそうだけど農協は結構安くお買い上げされるようなので直接農家さんから購入できるツテがあったら消費者さんと農家さんの間でwin-winになる関係なんです。

 

ぶどうっていうのは遅くなればなるほど甘みも旨味も乗って酸が消えていく果物なんです。だから同じ黒くて大きい葡萄ですけど、巨峰よりピオーネの方が20日くらい収穫が遅いのでどっちが甘い?って聞かれたらピオーネが甘いと答えることができます。もちろん味の好みは色々あると思いますが、ここでは割愛させていただきます。

また最近がいい例ですが、この晩夏の時期は雨が多いのです、台風やなんやらで。デラウェアが出始める8月初旬は梅雨が終わったぜーって日差しギラギラの時期なのですけど8月半ばから終わりにかけては去年もそうでしたけど結構天候が不順になりやすい傾向にあるんです。ただし、完熟を過ぎて果実から酸が消えると雨粒に当たった時に粒割れしやすくなってしまったり、過熟して実がダレてしまったりしますので完熟を過ぎてしまったらそれはそれで美味しくないんですけどね。

 

何が言いたいのかというと、美味しい葡萄を食べたいのなら「その土地に住んでる人間に聞け」っていう当たり前のことですね。更に言うと「どこがお買い得なのか」を聞くのではなくて「今年の●●はどうですか?」と農産物全般に対する確認をすること。駅員さんに聞いてもいいしタクシーの運ちゃんに聞いてもいいと思います。観光農園(一般人相手にしてる商売の人)に聞くとウチの所が旨い、としか言いませんがある程度公平な目を持っている土地の人に聞くことで偏りのない相対的な意見を聞くことができるのでオススメです。駅員さんやタクシーの運ちゃんですと地域の噂話や農産物の出来も自然に耳に入ってきますのでより良い選択肢を教えてもらえます。

 

私もこの町に来てからまだ20日(通勤するようになってから2ヶ月くらい)ですけど、美味しい果物を作って安く販売してくれる農家さんや丁寧で親切なワイナリーさんなど徐々に頭に刻まれてきています。楽しいですね、自然の中で働き生きるということは。